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目的なき投資からの脱却―生活の安心を軸にしたライフプランと資産運用方針の再構築支援
ご相談者様プロフィール
- ご相談者様
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T様(埼玉県在住・50代男性)
- 年収・資産状況
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年収500万円・金融資産6000万円
- ご相談方法
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店舗ウェルコーチにてご来社面談
ご相談の背景
退職金と相続により、まとまった資産を受け取られたお客様からのご相談でした。NISAを活用して資産運用を始めたいとお考えでしたが、投資が初めてということもあり、何から始めれば良いのか、また、どのくらいの金額を投資に充てれば良いのかが分からないといったお悩みをお持ちでした。
Main Issue ヒアリングで浮かび上がった課題
運用の目的と「生活の安心」を最優先にする考え方の共有
お客様への初回ヒアリングでは、「余裕資産での運用自体が目的化している」という点に課題を感じました。そこで、運用の目的を明確にするために、最終的なゴールとして「家計が破綻せず、今後も日常生活を安全かつ幸せに過ごすこと」をご提案しました。この考え方には、お客様も大変ご共感くださいました。
私たちは、運用はあくまでその実現手段の一つであることを丁寧にお伝えしました。あわせて、日々の生活における「継続して楽しみたい趣味」や「資金的に持っていたい余裕」といった、暮らしの中で幸せを感じられる要素についても丁寧にヒアリングしました。
例えば、お客様は旅行がお好きで、今後も旅費を多めに確保したいというご希望をお持ちでした。一方で、現状の収支バランスにどの程度の余裕があるかについては、把握が難しい状況であることが分かりました。
運用意向とリスク許容度の確認
次に、現在保有されている金融資産を10年間運用した場合、どの程度のリターンを期待されているかを伺いました。その結果、物価上昇による資産価値の目減りをカバーできる程度で構わないというご意向であり、「できるだけリスクを抑えつつ、年率3〜4%程度のリターンが得られれば十分」という明確な希望が確認できました。
一生涯の家計診断に基づく資産状況の確認
今後の生活では、現在の資産を少しずつ取り崩していく形になることが想定されるため、収支バランスの余裕度を把握した上で、適切な運用ポートフォリオの構築が不可欠です。そこで、以下のような収支項目について詳細なヒアリングを実施しました。
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月々の収入(年金額)
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支出(光熱費、食費、日用品、娯楽費、大きな支出予定)
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住宅ローンの年間返済額
これらをもとに、物価上昇率も加味した「100歳までの資産推移シミュレーション」を作成し、将来の資産の動きを「見える化」しました。
この分析の結果、現在保有している約6,000万円のうち多くが、100歳時点まで預金として残る可能性が高いことが判明しました。これにより、インフレによる資産価値の目減りを防ぐための対策、すなわちインフレ耐性のある運用手法の必要性が明確になりました。
Advice Details 支援内容
ライフプラン設計・キャッシュフロー分析および運用方針のご提案
お客様の将来設計を明確にするため、まずはライフプランの設計から支援を開始しました。
「100歳までの資産推移を見通すこと」を目的に、収入・支出・今後の大きな出費・ご希望のライフイベントなどについて丁寧にヒアリングを行いました。
その上で、以下の情報をもとに、物価上昇率も加味しながら資産の推移をシミュレーションしました。
- 月々の収入(特に年金の想定額)
- 月々の支出(生活費、水道光熱費、食費、日用品、娯楽費など)
- 今後予定されている大きな出費(旅行、リフォーム、介護など)
- 住宅ローンの年間返済額
このキャッシュフロー分析により、老後の生活資金における過不足や潜在的リスクを事前に把握できるようになりました。結果として、「将来への不安が大きく軽減された」とのお声をいただいております。
さらに、資産全体の流れを可視化することで、生活資金に影響を与えず、現在から無理なく運用に回せる金額の見極めも可能となりました。これにより、お客様にとって安心かつ現実的な運用方針をご提案することができました。
Financial Management Advice 運用商品に関するレクチャーと面談の流れ
お客様が安心して資産運用を始められるよう、全4回の面談を通じて、以下の内容について丁寧にレクチャーを行いました。目的は、お客様ご自身が商品の仕組みを理解し、正しく判断・選択できる状態をつくることです。
- NISA制度の概要と活用方法
- 投資信託の仕組み、主な種類、選び方
- 投資信託(株式クラス)におけるリスクと期待リターンの考え方
- 債券とは何か、債券投資におけるリスクや評価のポイント
- NISAを活用した投資信託と債券運用とのリスク・リターンの比較
これらの内容を通じて、お客様は運用商品の仕組みとリスクを十分に理解され、「年利3〜4%程度の安定的な運用で十分である」という明確な運用方針を定められました。
運用方針の決定にあたっては、リスク分散と安定性を重視する姿勢を尊重し、主に債券投資をご提案しました。また、お客様は一部死亡保障の必要性も感じておられたため、運用効果を見込める「一時払い終身保険」を活用し、保障機能を兼ね備えた資産運用の選択肢もご提示しました。
現在も債券クラスを主軸とした運用を実践されており、継続的なモニタリングとサポートを実施しています。今後もライフプランの変化に柔軟に対応しながら、長期的かつ安定した資産管理を支援してまいります。
Client Review ご相談後の変化・ご感想
ご相談時の状況
初回ご相談時には、NISA制度を活用した投資信託(株式クラス)による運用のみをご認識されており、「とにかく投資を始めてみたい」というお気持ちが先行しているご様子でした。一方で、ご自身のライフプラン全体における資産の位置づけや、特に老後資金が今後の生活において枯渇することなく維持されるかどうかといった重要な観点については、まだ十分に整理されていない段階でいらっしゃいました。
ご提案の内容と
面談を通じた変化
面談を重ねる中で、価格変動リスクの高い株式投資に偏らず、より安定的かつ計画的に資産を育てていく手法をご提案しました。具体的には、次のような資産形成の選択肢をご提示しました。
- 固定金利を活用した債券運用
- 保障機能を兼ね備えた保険商品を通じた資産運用
これらのご提案は、お客様にとって非常に新しい気づきとなり、「リスクを抑えながらも計画的に資産を育てていける運用方法」として高くご評価いただきました。
最終的に、お客様は資産状況やライフプランに照らし合わせ、次のような方針での運用をご決断されました。
- 安定的な運用を目指す「債券運用」への3,000万円の資金配分
- 必要な死亡保障額を確保するための「一時払い終身保険」の活用
このように、リスク分散と目的別の運用を組み合わせた方針により、安心感のある資産形成が実現しました。
お客様からいただいたご感想
「価格の変動リスクをできるだけ抑え、比較的安心してまとまった資産の運用ができる商品を知ることができて、本当に良かったです。
また、ライフプランを丁寧に設計していただいたことで、この資金が『使う予定のない、余裕のある資金』であることが明確になり、投資を始めることに対する不安がなくなりました。
金額が大きかったため、当初は本当にこのまま投資をして良いのか迷いもありました。
しかし、ライフプランという裏付けがあったことで、『この資金は将来の生活に影響を与えない』という確信が持て、自信を持って運用に踏み切ることができました。