投稿日:2026.05.29 最終更新日:2026.05.29
【60代向け】NISAの活用法|始め方と無理のない運用方法とは?
「退職金をどう運用すれば……」「今からNISAを始めても間に合うの?」
60代に入ると、年金生活が現実味を帯び、資産運用について真剣に考え始める方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、60代からでも決して遅くありません。
NISAには年齢制限がなく非課税保有期間も無期限、さらにいつでも引き出せる柔軟性があるため、残り20〜30年の運用期間で非課税メリットを活かせます。
しかし、いざ始めようと思っても「証券会社はどこを選べば?」「リスクが心配」「引き出し方はどうすれば?」と、次々に疑問が浮かんでくるのも事実です。
この記事では、60代からNISAを始める際の判断軸と、実際に始めるための手順、意識したいリスク管理や引き出し方まで、順を追って解説します。
- NISA制度の基本
- 60代から始めても遅くない2つの理由
- NISAを始める前に決めておきたいこと
- NISAの始め方の手順
- リスク管理と引き出し方の考え方
この記事は、金融商品仲介業者として内閣総理大臣の登録を受けているフィナンシャルクリエイトに所属するIFAが監修しています。
60代の資産形成に関する無料相談やNISA勉強会も提供していますので、迷ったときはお気軽にご相談ください。
60代が知っておきたいNISA制度の基本
まずは、60代の方が押さえておきたいNISA制度の特徴を確認します。

年齢制限がないため60代・70代でも新規開設できる
NISA口座を開設できるのは、その年の1月1日時点で18歳以上かつ日本に居住している人です。
年齢上限は定められておらず、60代・70代でも新たに口座開設できます。
2024年のNISA制度改正により、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大、非課税保有限度額の拡大、制度の恒久化などが実現しました。
「もう60代だから投資を始めても意味がないのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、制度上は何歳からでもスタート可能です。
実際に、定年退職後の資産運用として60代・70代からNISAを活用する方も増えています。
利益に税金がかからない
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。
NISA口座で生じた売却益や配当・分配金は、原則として非課税となります。ただし、他の口座との損益通算や繰越控除はできない点にご注意ください。
通常の証券口座では利益に約20%の税金がかかりますが、NISA口座ではこれが非課税になるため、長期にわたり複利効果を活かせます。
2024年からNISA制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限になりました。
年間投資枠は「つみたて投資枠」120万円+「成長投資枠」240万円で合計360万円まで拡大し、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられ、1,800万円が上限となりました。
出典:金融庁「NISAを知る」
(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/)
つみたて投資枠と成長投資枠の2種類がある
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。
つみたて投資枠は年120万円まで、積立方式で長期・積立・分散投資向けの商品(主にインデックスファンド)に投資できます。
一方、成長投資枠は年240万円まで、一括購入も可能で、より幅広い商品(個別株、アクティブファンドなど)に投資できます。
この2つの枠は併用できます。
たとえば、つみたて投資枠で毎月10万円ずつ積立投資を行い、成長投資枠で退職金の一部を一括投資する、といった使い方もできます。
60代からNISAを始めても遅くない2つの理由

「今から始めても遅いのでは」という不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、60代からでも活用できる理由があります。
非課税保有期間が無期限のため何歳からでも恩恵を受けられる
NISA制度では非課税保有期間が無期限で、制度自体も恒久化されたため、60代からスタートしても非課税メリットを享受できます。
2023年までの制度では非課税保有期間に5年や20年といった上限があり、始めるタイミングが難しく、年を重ねるごとに将来を考えてしまい始めずらいという側面がありました。
しかしNISAでは何歳から始めても、何年間運用しても利益はずっと非課税のため、スタート時期に対して悩む必要がありません。
「今からでも遅くない」というのがNISA制度の大きな特徴と言えます。
平均余命は残り20〜30年あり運用期間を確保できる
現在60歳の平均余命は男性23.63年、女性28.92年とされています。
出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life24/dl/life24-02.pdf)
このように60代からでも20〜30年程度の時間を活用できる可能性があります。
(運用次第では老後資金の維持・拡充が期待できますが、投資にはリスクが伴い、元本割れが生じることもあります。ご自身の状況を十分にご確認のうえご検討ください。)
NISAを活用した運用も選択肢の一つです。ただし、市場環境によっては資産が減少するリスクもあります。銀行預金との比較においても、ご自身のリスク許容度・資産状況に応じてご検討ください。
具体的な試算は、金融庁のライフプランシミュレーターで、ご自身の状況に合わせて確認できます。
出典:金融庁「ライフプランシミュレーター」
(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/lifeplan-simulator/)
60代がNISAを始める前に決めておきたいこと
NISAを始める前に、ご自身の状況を整理しておくことで、無理のない運用を始められます。

どれくらいのリスクを取れるか「リスク許容度」を考える
NISAを始める前に、まず「どれくらいのリスクを取れるか」を考えます。
リスク許容度とは、投資による損失をどの程度受け入れられるかという度合いです。
分かりやすく言えば、「100万円投資したものが一時的に80万円に減ったとき、冷静でいられるか」「それとも不安で眠れなくなるか」という、値動きに対する心理的な耐性のことです。
これは単に年齢だけで決まるものではなく、保有資産額や投資経験、投資目的、その人の性格などさまざまな要素で人それぞれ異なります。
ただし一般的に年齢を重ねるにつれリスクへの許容度は低下する傾向があります。
60代では「増やすこと」以上に「減らしすぎないこと」が大切になります。
自身のリスク許容度を見極め、無理のない運用目標利回りや資産配分を決めることをおすすめします。
たとえば「元本が半分になっても生活に支障ない額だけ投資に回す」といった基準で、自分が耐えられる損失額・割合を基準にリスク資産の比率を決める方法もあります。
生活防衛資金と余裕資金を明確に分ける
60代でNISA運用を始める際は、まず生活防衛資金(当面の生活費や緊急予備資金)と、長期運用に充てられる余裕資金を明確に分けておくことが基本です。
一般に生活防衛資金は少なくとも生活費6か月分、安定重視なら12か月分を現預金で確保しておくのが目安とされています。
たとえば、月々の生活費が25万円なら150万円〜300万円程度を無リスク資産で手元に置き、これを超える資金のみ投資に回すイメージです。
「使うお金」(生活費や近々の支出)、「守るお金」(予備資金や安全資産)、「増やすお金」(余裕資金の運用部分)と分けておけば、いざというときに取り崩す順序も明確になります。
引き出し開始年齢と毎年の引き出し額を決めておく
「いつから・いくら引き出すか」を最後に決めます。
60代は「増やす」だけでなく「使う」まで考えることが大切になります。
引き出し開始年齢(たとえば70歳、75歳)と毎年の引き出し額を先に決めることで、運用方法が明確になります。
これは「出口(引き出し)から逆算する」という視点転換です。
たとえば、「70歳から毎年100万円ずつ投資した商品を売って現金化する」と決めておけば、それに必要な資産額や運用方針の目安が見えてきます。ただし、運用がうまくいかず元本割れしている状態で売却すると、損失が確定することになります。
NISAを始めるための手順
NISA口座を開設して運用を始めるまでの手順を確認します。

ステップ1:窓口を選ぶ
NISA口座を開設する窓口として、大きく分けて3つの選択肢があります。
それぞれに特徴があり、「手数料の安さ」「対面サポート」「商品の幅」「アドバイスの中立性」などの優先順位によって適した窓口が変わります。
自分のスタイルに合った窓口を選ぶことが、長く続けられる資産運用の第一歩です。
ネット証券:自分で判断できる方向け
売買手数料が安く、商品も豊富です。スマホやPCで手軽に手続きできますが、基本的に自己判断での運用となります。
投資経験があり、自分で情報を調べて判断できる方に向いています。
店舗型証券会社・銀行:対面サポート重視の方向け
担当者と対面で相談でき、サポートが手厚い点が魅力です。投資が初めての方や、直接相談しながら進めたい方に向いています。
店舗型証券会社・銀行では、金融機関によっては取扱商品や手数料体系が異なる場合があります。ご利用の際は、各社の条件を十分にご確認ください。
IFA:対面でアドバイスを受けたい方向け
特定の金融機関から独立した立場で、資産運用のアドバイスを行う専門家です。お客様の意向を尊重した提案が期待でき、追加の相談料もかかりません。
60代の方は、「コスト重視ならネット証券、対面サポート重視ならIFAや店舗型」といった特徴を踏まえ、自分に合った窓口を選ぶとよいでしょう。
ステップ2:申し込む
口座開設の基本的な流れは以下の通りです。
- 金融機関を選ぶ
- 申込書提出(Webまたは書面)
- 税務署で重複口座の審査
- 開設完了
開設には本人確認書類とマイナンバーの提出が法律で義務付けられています。
マイナンバーカードがあれば1枚で本人確認と番号確認を同時に行えるため非常に便利です。
証券会社にもよりますが、多くの証券会社がスマホでマイナンバーカードの表裏を撮影してアップロードするだけで手続きが進み、郵送書類のやりとりが不要になります。
NISA口座は一人1口座のみのため、すでに他社で開設済みの場合は新規開設できません。
ステップ3:商品を選ぶ
商品選びは、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを使うか、どのような商品に投資するかを考えます。
60代の商品選びでは、リスクを抑えた商品(バランス型、債券比率高め)も選択肢に入れることをおすすめします。
ご自身のリスク許容度や投資経験、運用期間に応じて「考え方」を整理し、IFAなど投資アドバイスの専門家への相談という選択肢も検討してみませんか。
60代のリスク管理:リスクを減らすために押さえること
資産を守りながら運用を続けるために、60代が特に意識したいリスク管理のポイントを整理します。

資産・地域・時間を分けて価格変動リスクを軽減する
資産運用の基本原則は「長期・積立・分散」ですが、60代では特に分散投資と資産配分の見直しが大切です。
分散には3種類あります。
- 資産の分散(株式・債券・現預金など)
- 地域の分散(国内外)
- 時間の分散(購入・売却タイミングの分散)
60代ではリスク許容度の低下を踏まえ、資産配分を「守り重視」にシフトするのが一般的です。
具体的には、現預金や預貯金・国内債券など安全資産の比率を高め、株式などリスク資産は必要な範囲にとどめる配分です。
手数料(信託報酬)を確認する
信託報酬とは、投資信託を保有している間にかかる手数料のことです。
なぜ大切かというと、長期運用で大きな差になるからです。
信託報酬の目安は、インデックスファンドで年0.1〜0.5%程度、アクティブファンドで年0.5〜2%程度とされています。
たとえば、100万円を20年間運用する場合、信託報酬が年0.2%と年1%では、最終的な資産額に数十万円の差が出ることもあります。
商品選びの際は、信託報酬を確認することをおすすめします。
医療費・介護費に備えて生活費の数年分は現預金で確保
NISA以外に、生活費の数年分(たとえば3〜5年分)は現預金・定期預金で確保しておきたいところです。
なぜ現預金が必要かというと、医療費・介護費などの急な出費に対応するためです。
また、市場が下落したときに慌てて売却しないためでもあります。
60代では、この「守るお金」をしっかり確保した上で、「運用するお金」をNISAに回すという順序が大切です。
引き出し方は定額・定口・定率の3種類から選ぶ
資産を取り崩す際の方法には主に「定額」「定口(期間指定)」「定率」の3種類があります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の優先事項に応じて選ぶことが大切です。
定額取り崩し:毎月(毎年)一定の金額を取り崩す方法です。
自分で受け取り額を固定できるため家計管理しやすいというメリットがあります。
しかし、市場が下落局面でも決まった額を取り崩すため資産減少が早まるリスクがあります。
定口取り崩し(期間指定取り崩し):保有資産を決めた期間で均等割りして売却する方法です。
「○年間で使い切る」という計画が立てられるのがメリットです。
ただし、市場変動によって各回の受取金額は増減するため、毎回の収入額は予測しづらい点に留意したいところです。
定率取り崩し:毎月(毎年)資産残高の一定割合(たとえば年3〜4%など)を取り崩す方法です。
相場が下落したときは取り崩す金額も減るため資産の目減りを抑え長持ちさせられるのが利点です。
「毎月決まった額が欲しいなら定額」「○年で使い切りたいなら定口」「できるだけ資産を長持ちさせたいなら定率」といった選択になります。
専門家の提案として、資産規模の大きい若いうちは定率でゆるやかに取り崩し、資産が減ってきた高齢期に定額に切り替える「前半定率・後半定額」の考え方も推奨されています。
まとめ:60代からでも遅くない、NISAは今から始められる
60代からNISAを始める具体的な始め方・運用法を順を追って解説してきました。
NISAには年齢制限がなく非課税保有期間も無期限です。
運用にあたっては、3つの分散(資産・地域・時間)と生活費の確保、および引き出し方を意識することで、迷うことなく進められます。
- 60代からでも年齢制限なし、無期限で非課税運用が可能
- リスク許容度と生活防衛資金の確保が大切
- NISA口座開設の窓口は「ネット証券・店舗型・IFA」から選択
- 資産・地域・時間の3つの分散でリスク管理
- 引き出し方(定額・定率・期間)を先に決める
フィナンシャルクリエイトに所属するIFAは、「年代別」×資産形成の専門性を活かし、60代特有の悩みに寄り添います。
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お気軽にIFAにご相談ください。
- 商号等:株式会社フィナンシャルクリエイト
- 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第845号
- 各商品等にご投資いただく際には商品毎に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。 又、各商品等には価格の変動等による損失を生じる恐れがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり内容について十分にご理解ください。
この記事を書いた人
矢野 美月(千葉支社長)
資産形成・取り崩し戦略(デキュムレーション)、退職金運用、企業・学校向け金融教育を専門とするIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)。2017年より金融業界に携わり、現在は楽天証券認定のIFAとして活動。株式会社コズレのオンラインセミナーや主婦の友社主催トークショー、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース選手への金融講座など、幅広い層に向けた登壇実績を持つ。「金融業界を変える」という信念のもと、千葉全域で金融リテラシーの向上を目指し、人の想いや未来に寄り添うアドバイスを行っている。